4.広州南→珠海


□広州南 1435(C7643・珠海)1554 珠海

 2017年2月24日13時05分、私は広州南駅に戻ってきた。

 今朝は 9:32 に広州南に到着した後、広州市街を散策していた。省都だけあって、中心地は活気にあふれている。

   
 広州の、無軌電車(トロリーバス)  北京路の歩行者専用路


 しかし、中国はコインロッカーの無い国なので、旅行荷物を全部もったままでの市内散策となり、足と肩が痛くなった。加えて、広州市の中心部から広州南駅までは、地下鉄で40分ほどもかかる(北京路〜広州南駅間)。今日は朝から飲まず食わずなので、広州南駅には疲れて戻ってくることになった。

 広州南駅は、発着線が24線以上もある、巨大な駅である。駅舎の中には券売機が多数あるが、有人の切符売り場は、駅の端にある。ここでは窓口の口数は多いが、どの窓口も10人ほどの行列ができている。まあ、日本の大駅のみどりの窓口と比べても、それほどひどい混雑ではない。

 広州南駅の、自由に立ち入れる領域には、ファストフードが4箇所あるが、どこも混んでいる。空腹だった私は、そのうちの一つで昼食をとったあと、実名制験証口(身分証明書検査)・手荷物検査を通って、待合室に入った。

 待合室は、すごい広さである。そして、この空間には、身分証明書検査場の外側よりもはるかに多くの飲食店があり、店内もゆったりしている。その中には「すき家」もある。こんなことなら、さっさと検査場を通過して、このエリアで食事をすればよかったと思った。

14時20分、私の乗る列車の改札が始まった。列車は8両編成だが、車両は深センから乗ったものとは異なっていた。出入口が車端部ではなく車両中央にある。ハイパーサルーンのような構造である。


 

 車内は、始発駅からデッキに立ち客がいる。この列車の乗車券は、約5時間前に広州南に到着してすぐ切符売り場で購入したのだが、二等座は売り切れていた。このため、私は一等座に乗ることにしたのである。
 一等座は、2-2列シートのリクライニングシートが並ぶ。横方向の寸法は二等座よりも広いものの、シートピッチは深センから乗った車両の二等座と大して変わらなかった。

 14時35分、私の乗ったC7643次、珠海ゆき列車は広州東を発車した。
 この電車は、デッキ入口部のLED表示で、速度を常時表示している。電車は150km/h〜200km/hの間で速度を上げ下げしながら走っている。沿線は、人家や工場、それにマンションがぽつぽつ建っている平坦地である。トンネルは全く無く、また、カーブが結構多い。そんな線路を、列車は蛇行動を起こしながら疾走している。


 午前に乗った福田-深セン-広州南間列車とは乗り心地が全く違う。これは、線路の規格が異なっているからなのだろうと思った。表定速度も、午前に乗った列車とは段違いである。 

 とはいえ、乗っていてどっちが楽しかったかといえば、それはやはりトンネルが無く、町並みを眺めることのできる広州南-珠海間列車だった。

 15時54分、列車は定刻どおり、珠海駅に到着した。
 向かいのホームには、北京〜珠海で運行されている寝台高速列車編成が停まっている。編成は16両編成で、大部分が軟臥車(4人コンパートメント寝台車)。日本では計画はあったものの実現しなかった寝台新幹線電車が、中国では当たり前の存在になっている。私は、この電車にいつか乗りたいという気持ちを持ちつつ、珠海駅の改札を出たのである。

 珠海は、マカオとの玄関口である。駅を出たすぐそばに、マカオとの境界の拱北口岸がある。珠海に高速鉄道ができて、中国各都市からマカオへはずいぶん近くなったに違いない。私は、そんなことを考えつつ、初訪問となるマカオに入境したのである。


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