かつては道路交通しかなく交通渋滞がひどいと言われていたバンコクですが、今は鉄道の市内交通が急速に整備されつつあります。現在、市内には高架鉄道のBTSが2線、地下鉄のMRTブルーラインが1線が運行されているほか、空港と市内を結ぶエアポートレールリンクが市内交通としても使われています。
これら軌道系市内交通は、英語の表示・英語の車内放送が整備されているほか、駅の窓口でも簡単な英語が通じます。このため、外国人でも支障なく利用できます。日本でも、京都などの外国人の多い大都市の市内鉄道では、英語表示が整備されましたが、それと同等になっています。
しかし、電車では行けない観光名所も結構あります。こういったところには、市バスで行こうかということになります。ところが、市バスは外国人対応が全くといっていいほど行われていないため、利用は大変困難です。日本では、京都などの外国人の多い大都市であっても市バスの外国人対応は進んでいませんが、それと同等になっています。
市バスに乗ろうとした場合、まず、バスの路線を知る必要があります。しかし、たいていのバス停には、そこに停車するバスの系統番号が書かれているだけで、系統番号別の行先の情報や路線図、時刻表の記載がありません。このため、バス停では市バスの路線情報が分かりません。写真のバス停は、各系統番号の経由地が簡単に書かれていますが、これは例外です。
バスは頻繁にやってきます。バスの車体には系統番号のほかに行先や経由地が書かれています。しかし、行先や経由地はタイ語のみの表示なので、外国人にはほとんど読めません。かりに読めたとしても、そもそもバンコク市内の地名を知っていないと役に立ちません。
路線情報は、ガイドブックやインターネットであらかじめ調べておくしかないようです。「transit Bangkok」(https://www.transitbangkok.com/)というサイトの「Bangkok Buses」というページでは、バンコクのバスの経由地を英語と地図で調べることができますが、あまり使いやすくはありません。
目的地に行くバスの系統番号が分かっても、そのバスが来るとは限りません。系統番号によってバスの運転間隔は全然異なっています。よく来る系統番号は数分おきに来て、ときには2台連なって走っていたりしますが、来ない系統番号は20分待っても一台も来ない、走っているところを見たことがない、という状況です。しかも、その運転間隔に関する情報は、前述の「transit Bangkok」を見ても得られません。
行先によっては、来もしない系統のバスを待ち続けるより、頻繁に走っている系統番号の系統を乗り継ぐほうが、確実に目的地に行けるようです。僕が見た範囲では、頻繁に走っているドル箱系統は1・40・53・82などです。
バンコクのバスは、まだワンマン化が行われていません。車掌が必ず乗っていて、乗客は乗車後に車掌から切符を買うようになっています。車掌は年配の女性です。
バスは「エアコン無しバス」と「エアコンバス」があります。エアコン無しバスは均一運賃で、7.5バーツの運転系統と9バーツの運転系統がありました。これは、車掌に10バーツを黙って払うだけで切符とおつりが返ってくるので、言葉の問題は少ないです。
「エアコンバス」は少し厄介です。運賃は降車場所によって異なるので、車掌に降車場所を伝える必要があります。しかし、バスの車掌に外国語は通じません。このため、行先の建物などをタイ語で伝える自信がないなら、乗車時には地図を持ち込み、地図を示して行先を伝えるといった方法を考える必要があります。