5. アルタ→ナルビク

□17/08/14 Alta 10:55(Torgahtten,Tromso)15:45 Lyngseidet
 Lyngseidet 15:45(Torgahtten,Nordkjosboth)16:53 Nordkjosboth
 Nordkjosboth 17:05(Torgahtten,Narvik)20:10 Narvik


2017年10時55分、私の乗ったトロムソ(Tromso)行きバスは、アルタを発車した。

 今日の天気は曇り。雲が多いが青空も少しは見えるという天気で、車窓風景は楽しめる。そんな天気のもと、バスは右手にフィヨルドを望みながら走る。フィヨルドにちょっと飽きたな、と思った頃、バスは高度を上げて、岬の付け根を越える。高度を上げるときには、フィヨルドを高所から見下ろす展望が開け、その後は高原の車窓がしばらく続く。高原が終わると、また右手にフィヨルドの展望が現れる。

 このバスも5時間の長時間乗車だったが、このように車窓は変化に富んでいた。今回の旅行で、一番楽しい乗車時間だった。
 しかも、一時小雨が降ったが、この後は、フィヨルドを見下ろす風景に虹がかかった。これにはちょっと感激したが、帰国後に写真を見ると大した景色でもない。まあ、驚きで気分が高揚していたのだろう。

 15:00、バスはオルダーダレン(Olderdalen)から、フェリーに乗船した。バスがフェリーの車両甲板に入ると、バスの乗客は船室に移動となる。狭いバスから広い船室に移動した人々は、思い思いに体を伸ばしている。


 15時22分、フェリーは出港し、峡湾を横切る。周りは山に囲まれていて、山には8月だというのに雪が残っている。私はこの風景に魅せられて、到着までの約40分をずっとデッキで過ごしたのだが、デッキには台風並みの風が吹いていて寒かった。

 16時ちょうど、フェリーはリンサイダット(Lyngseidet)に到着した。ここで、私はノールヒョースボットン(Nordkjosbotn)ゆきのバスに乗換えた。ここで乗り換えたのは私一人、バスの乗客は、私が乗り換える前から乗っていた人1人、合わせて2人。またしても心細い乗車になってしまった。

 リンサイダットからのバスは、湾岸沿いを走る。この区間には坂道はなく、左手に峡湾の水面の眺めがずっと続く。ここでも湾に虹がかかるのを見た。虹の付け根を見るのは生まれて初めてのような気がする。

 乗降客はほとんどいないまま、バスはノールヒョースボットンに到着した。ノールヒョースボットンでは、トロムソ発ナルビク(Narvik)行きのバスがすでに待っていた。

 ナルビク行きのバスは、結構乗客が乗っていた。ここからのバスは、山間部を走る。ここへ来て、再び雨が降ってきた。渓流沿いの区間もあったが、ここも天気がよければな・・・と思った。

 右手に久々に湾岸が見えてくると、終点のナルビクは間もなくである。小雨混じりの空模様の中、20時09分、バスはナルビクのバスターミナルに到着した。

 ナルビクを訪問するのは、2度目である。ナルビクには鉄道が通っているため、24年前に、ヨーロッパの鉄道の乗り歩きで訪れたのである。私はナルビクを歩きつつ、24年前のナルビクの風景を思い出そうとした。しかし、懐かしさを感じる風景に出会うことはなかった。ナルビクも変わってしまったのだろう。


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