6. ナルビク→ルレオ

□17/08/15
 Narvik 1100(列車代行バス) Kiruna 14:35(IC95 Lulea)18:45 Lulea


 2017年8月15日朝10時、私はナルビク駅にやってきた。昨日まではバス旅行が2日半続いたが、ここからは鉄道旅行に復帰である。ナルビクの町には見覚えのあるものはなかったが、このナルビク駅は24年前と同じ建物である。

 懐かしさを覚えつつ駅舎の中に入るが、ここもフィンランドと同様、今では駅員はおらず、切符売り場の窓口もなくなっており、代わりにクレジットカード対応の券売機がある。

 が、それよりも大きな問題があった。駅舎内の発車案内のモニターでは、今日ナルビクを発着する列車は全て『Cancelled』と表示されている。列車は運休・バス代行なのである。

 ここナルビクからの列車には、24年前に乗っている。車窓からはフィヨルドを望むことができ、ヨーロッパでも車窓風景が美しい区間として有名なところである。あの風景を久しぶりに見ることができると楽しみにしていたので、運休という現実にはがっかりした。
 本来の列車の発車時刻である11時の少し前、2台のバスが入ってきた。バスの行先は『Kiruna』となっている。バス代行区間はナルビク〜キルナ間のみで、キルナからは列車に乗り換えるようである。発車時刻になるころには、バスは半分以上の席が埋まった。その多くはハイカーである。

 ナルビクを発車したバスは、鉄道とは別のルートでキルナを目指し、山を登り始めた。このため、鉄道と同様のフィヨルドを望む車窓風景ではなかったが、こちらのルートもまあまあ乗っていて楽しかった。

 坂を上りきって国境を越えたあたりから、道路と鉄道のルートが近接した。11:45のリックスグランセン(Riksgransen)は、湖畔のリゾート地のようなところ。ここでいくらかハイカーが下車し、しばらく湖畔の眺めが続いた。

 12時20分、アビスコ国立公園入口のアビスコ・ツリスタ(Abisko Turist)駅で、ハイカーが多数乗り降りした。アビスコ国立公園は、日本のガイドブックにも載っている山岳国立公園である。

 アビスコからキルナまでは93kmの間、駅が一つもない。このあたりは道路と線路が近接しているところだが、道路沿い・線路沿いに人家は全くない。山間部の湖畔で、結構車窓は美しいところだが、平地がないため、農業を営むことはできない地域である。

 13時56分、バスはキルナ駅に到着した。キルナは久々の都市である。
 キルナ駅は24年前にも利用したことがあるはずなのだが、そのときの面影は全く無い。ホームは片面ホームが一つ、ホーム上に待合室があるが、切符売り場の窓口はないばかりか券売機も無い。
 実は、キルナ駅は街外れに移転しているのである。市中心部までは2kmも離れており、無料のシャトルバスに乗り換える必要がある。

 列車の発車案内を見ると、乗るはずのルレオ(Lulea)ゆきIC95列車は、定刻14:02発が、14:32発に変更されている。

 14:15に、ルレオ発ナルビク行きIC96列車がキルナ駅にやってきた。今日はこの列車がここキルナで折り返して、14:32発のIC95列車・ルレオ行きになるのである。列車は機関車1両に2等客車3両の編成である。車内は、60%くらいの座席が埋まった。

 この列車は、すべて指定席である。日本のように座席の向きを変えることはできない。このため、半数の人は後ろ向き乗車になる。私も後ろ向きの座席になってしまった。

 キルナからは、平坦な森林の中を走る。線路が木に囲まれて展望が利かないので、車窓の楽しみはあまりないところだった。



 18時19分、列車はボーデン(Boden)に到着した。ボーデンでは、ストックホルム行き夜行列車に接続する。ここで、ほとんどの人が下車した。

 ボーデンからルレオまでの36kmの区間は、町がちらほら見える平坦地になった。18:45に、列車はルレオに到着した。

 ルレオは、ストックホルム行きの夜行列車の始発駅である。それなのに、この駅にも切符売り場窓口もなく、券売機もない。これでは、スウェーデンの鉄道に不慣れな旅行者は困惑してしまうだろう。これはちょっと行き過ぎた合理化ではないだろうか・・・。私はそんなことを思いつつ、ルレオ駅をあとにしたのである。


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