Chapter 1:ニューヨークへの道のり


名古屋・中部空港 12:50(NW72)11:45 Detroit 13:36(NW704)15:26 New York La Guardia (当初予定)

 2008年8月10日11時45分、私の乗った名古屋発デトロイト行きノースウエスト航空72便は、デトロイト(Detroit) に到着した。今日はお盆のピークシーズンにかかっているため、機内はぎっしりの満席、12時間のフライトはかなり疲れるものだった。
 ニューヨークへは、ここからさらに国内線に乗り換えて2時間かかる。やはり遠いなあ・・・と思いながら、私は乗り継ぎ便であるNW704便に乗り込んだ。

デトロイト空港のターミナル。
長いターミナルビル内には、移動する旅客のための新交通システムが走る
ターミナル内の、出発案内板。
日本の空港のような発車順表示ではなく、行先がABC順で並んで表示されています。

 ところが、ニューヨーク行きの飛行機は乗客の搭乗が完了したのに動き出そうとしない。そして、やがて何がしかの機内放送とともに、すべての乗客が降りはじめるではないか。どうやら飛行機は運休らしいのだが、では私は一体どうすれば・・・

 というわけで、搭乗口の係員に搭乗券を見せて、私の飛行機はどこなのかと聞いてみた。すると、係員からは

の、2枚の搭乗券を渡された。メンフィス(Memphis)で乗り継いでニューヨークへ行けということらしい。
 「本当に私はニューヨークにつけるのか?」という不安を憶えながらロビーで待つこと2時間、15時10分にメンフィス行きの搭乗が始まった。

 搭乗券を受け取った時には気づかなかったが、機内誌の地図を見ると、メンフィスはニューヨークとは全く方角の異なる、アメリカ中南部の都市である。日本に例えれば、東京から札幌へ行く旅客を一旦福岡で乗り継ぎさせるようなものである。乗客の搭乗が完了した飛行機をいきなり運休にしたうえ、こんな無駄な輸送をするノースウエスト航空とは一体どんな航空会社なのかと思うが、それは今でこそである。このときの私は、一体いつニューヨークに着けるのか、その不安で一杯であった。

 メンフィスからの乗り継ぎ便は18:05発。もうこのときには、一刻も早くニューヨークに着くことだけを祈っていたのだが、そんな願いも空しく、飛行機がニューヨークのラガーディア空港に到着したのは22:15である。当初の予定では15:26にここに着く予定であったから、何と約7時間の遅れである。到着前には窓の外にニューヨークの夜景が広がっていたのだが、それを鑑賞するような心のゆとりはなかった。

 この時間に市バスや地下鉄に乗るのは不安、ということで空港からはタクシーに乗り、マンハッタンのホテルに着いたのは夜の11時半である。こんな時間では、もう寝るしかない、とホテルに着くまでは思っていた。

 しかし、チェックインを終えてホテルのロビーを出て交差点に出てみると、そこはブロードウェイの大通り。夜中の12時なのに街はネオンやLEDの光の雨と、行きかう人であふれている。そんな別世界のような光景に、私はニューヨークまでの不安な道のりのことを忘れ、ただただ圧倒されるばかりだったのである。


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