Epilogue


 8月17日日曜日の朝、私はマンハッタンの Cathedral Pkwy(110 St) 駅で地下鉄を下りた。110丁目は摩天楼が立ち並ぶ地域から少し離れた辺り。アパートや商店の並ぶ生活地区である。私はそんな街角のバス停で市バスを待っていた。

 やがて、ラガーディア空港ゆきの市バスがやってきた。夏休みももう終わり、帰国の時がやってきたのである。

 バスは、犯罪発生率が高いといわれるハーレム地区を経由し、橋を渡ってマンハッタンをあとにした。思えば一週間前の夜、空港からこの橋をタクシーで走ったときには「今回の旅行は一体どうなるのか」と思った。が、ニューヨークの鉄道めぐりは発見の連続で、本当に楽しめた。

 そんなことを思い出す間も、市バスにはキャリーバッグを持った旅行者が次々乗ってきて、いつしか満員になっていた。9時30分、バスはラガーディア空港のデルタターミナルに到着した。

 飛行機が離陸するまで油断できなかったが、幸い帰路の飛行機はスケジュールどおり、乗継地のデトロイトまでまっすぐ行ってくれるようだ。私はニューヨークの多彩な鉄道風景を思い起こしつつ、ニューヨークをあとにしたのである。


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