アデレードの市内交通の主役はバスですが、トラムも1線だけ走っています。このトラムは木造のノスタルジックな電車が使われており、これ自体がアデレードの景観の一部になっています。
アデレードには電車はありません。通勤鉄道は郊外に走っていますが、電化はされておらず、ディーゼルカーが使われています。しかし、行先の関係上、観光客が利用する機会はないでしょう。
アデレードの市街地には、『Adelaide Railway Station』があります。駅舎は外装・内装ともに、メルボルンの『フリンダースストリート』と並ぶ名建築ですが、ここから発着するのは、先述のディーゼルの通勤列車だけです。
メルボルンの『フリンダースストリート』も『アデレードレイルウェイステーション』も、駅そのものは美しく、しかも市街地の風景に溶け込んでいて感嘆はするのですが、20両以上の車両で編成されるオーストラリアの長距離列車には手狭すぎて、長距離列車は不便な街外れの駅からの発着に甘んじてしまっているようです。
長距離鉄道は、アデレードの市街から遠く離れた『ケズウィック(Keswick)駅』から発着します。『ケズウィック駅』の所在地は人里離れたと言ってもいいくらいの場所で、市内からは専用の連絡バスくらいしか足がありません。アデレードから長距離鉄道に乗る場合は、相当時間に余裕を持つ必要があります。
トラムは、アデレードの市街の中心にあるビクトリアスクエアを起点に、海岸部のグルネルを結ぶ1路線があります。車両はレトロ調で、ビクトリアスクエアの緑によく映えます。
トラムには車掌が乗車しており、乗車後に車掌に行先を申告して乗車券を購入する方式です。車内は転換クロスシートになっており、市街風景をゆっくり眺めることができます。
通勤列車はアデレードレイルウェイステーションから発車しています。アデレードレイルウェイステーションなどの大きい駅では切符売場がありますが、無人駅では乗車後に車内の自動券売機で購入することになります。
通勤列車の輸送規模は、シドニー・メルボルンに比べてもずっと小さいものです。通勤列車はデータイムは1〜2両編成で、30分〜1時間毎の閑散運転になります。