Chapter 1:非冷房の夜行列車(バンコク→チェンマイ)


 2018年4月27日金曜日21時55分、タイ国鉄(SRT)のバタイ・バンコク駅(ファランポーン駅)の6番線に、今回乗る列車が入ってきました。この列車は、バンコク 22:00発Express No.51・チェンマイゆきです。


 列車はディーゼル機関車を先頭にした客車列車です。客車の内訳は正確には記録していなかったので不正確ですが、3等座席車6両・2等座席車2両・食堂車・2等寝台2両・エアコンつき2等寝台2両、だったと思います。エアコンつき2等寝台以外はすべて非冷房車です。非冷房車の窓の一部は既に開いています。

 私は、エアコン無し2等座席車の9号車の指定席乗車券を持っています。乗車券は、日本からインターネット予約・クレジットカード決済で購入し、それをプリントアウトしたものです。
 (https://www.thairailwayticket.com/eTSRT/)

 9号車の2等座席車は、かなり古い客車です。車内には、2列−2列のリクライニングシートが、進行方向に対して後ろ向きに並んでいます。最初は、この車両の座席は向きを変えられないのかと思いましたが、実はこの座席は回転クロスシートでした。一人のタイ人旅客の声がけをきっかけに、乗客が順々に座席を回転していきました。
 つまり、タイでは、始発駅での列車整備時に、座席の向きを進行方向に揃えないのです。日本の鉄道のサービスでは考えられないことでした。

 しかし、、それよりも大きな問題がありました。私の席の1列後ろの座席の窓が、いっぱいに開いたまま固まっており、閉められません。こういう窓はここだけではなく、ほかにも何箇所かあります。しかも、車内はほぼ満席です。これでは、乗車中に大雨が降ったら、旅が台無しになってしまいます。こんなことなら、エアコンつき車両を選択しておけばよかった、と後悔しました。これが指定席のサービスというのは、いくらなんでも・・・と思ってしまいました。

 22時45分、列車は45分遅れでバンコクを出発しました。発車ベルや発車メロディーはなく、ホームの鐘が発車の合図です。
 タイは4月でも最高気温35℃前後の暑さです。私の乗った列車は冷房車ではないので、窓を開けて風を受けながらの乗車となります。日本ではすでに体験困難な乗車ですが、「一体いつの時代の夜汽車なのか?」と思いました。

 この列車には、車内放送が全くありません。しかし、停車駅では、深夜の遅い時間であっても、駅の構内放送が窓から飛び込んできます。このため、夜中もしばしば起こされてしまいました。これにも、「いつの時代?」と思いまった。

 バンコク発車時には車内は満席でしたが、夜が明ける頃には、かなりの客が下車していました。7時27分にシラート(Sila At)を発車。時刻表の発車時刻は6:20なので、1時間7分遅れです。

 列車はその後も昼行急行として走り続けましたが、遅れが回復することは無く、終点のチェンマイには、1時間強遅れの13:24に到着しました。途中小雨が降ることはありましたが、幸いにも大雨が降ることは無く、今回は終点まで、無事に指定の座席に座っていられました。

 しかし、このように老朽化した車両に加え、線路は全線非電化で単線主体、しかもシラート以北では信号はタブレット式でした。バンコク都市圏では今、地下鉄や高架都市鉄道などの軌道系市内交通やBRTが急速に整備され、近代化されています。その整備に比べると、タイ国鉄の近代化の遅れは不思議にすら思われました。


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