4.1.マレー鉄道 運行状況


 マレー鉄道の、区間ごとの運行状況を紹介します。

◎PADANG BESAR−BUKIT MARTAJAM−BUTTERWORTH

 電化複線
 ETS(クアラルンプール行き電車特急) 5往復
 KTR KOMUTER(近郊電車) 14往復(1時間毎)

 PADANG BESARは、タイ国鉄との連絡駅です。
 ETSは、PADANG BESAR・BUTTERWORTHの両方向から、首都クアラルンプールの KL SENTRAL へ向けて運転されます。PADANG BESAR発着・BUTTERWORTH 発着が各5往復で、BUKIT MARTAJAM で両系統が合流します。

◎BUKIT MERTAJAM−PADANG RENGAS

 電化複線
 ETS 10往復
 KTR KOMUTER 10往復(2時間毎)

 線路は直線主体の複線で、高速運転が可能です。
 この区間は、駅間距離はかなり長くなっています。このため、各駅停車のKOMUTERトレインも、かなりの高速で走ります。KOMUTERの最高速度は120km/hとのことですが、それを保って走っています。

 
 BUKIT MERTAJAM−PADANG RENGAS 間のKOMUTER

◎PADANG RENGAS−IPOH

 電化複線
 ETS 10往復

 この区間にはKOMUTERの運行はありません。ETSのみの運行です。ローカル列車がないのは、沿線住民の少ない区間だと予想されます。
 しかし、IPOHより北に行くETSは、満員になることが多く、当日の切符は入手難です。こんなとき、「ETSが満員なのでローカル列車で移動」ということができないのは、少し不便です。

◎IPOH−TANJUNG MALM

 電化複線
 ETS 18往復

 IPOH からは、IPOH発着の KL SENTRAL ゆき列車が8往復加わります。
 線路は直線主体の複線です。その上を、ETSは高速で快走します。最高速度は140km/hとのことですが、それくらいの速度をずっと保っているような走り方をしています。但し、沿線人口は多くないため、途中駅からの乗客は少ないようです。KOMUTERの運行がないのもうなずけます。

◎TANJUNG MALM−KEPONG

 電化複線(一部工事区間は単線)
 ETS 18往復
 KTR KOMUTER 30分〜2時間毎

 近郊電車とETSが混在しています。しかし、ほとんどの区間は線形のよい電化複線なので、ETSは高速運転をしています。
 ただし、クアラルンプール近郊の、KUANG〜SUNGAI BULOHの1駅間では、リニューアル工事のため単線運転になっています。この区間以南では、各電車は徐行運転になっています。

◎KEPONG−PUTRA

 電化複線
 ETS 18往復
 KTR KOMUTER 3往復

 クアラルンプール都市圏区間ですが、北方面からの KTR KOMUTER のほとんどが KEPONG での折り返し運転になっているため、運転本数が少なくなっています。これは、次に述べるPUTRA−KL SENTRAL 間がリニューアル工事を行っていて、単線運転になっているため、クアラルンプールに乗り入れできる電車の本数が少なくなっているためです。

◎PUTRA−KL SENTRAL

 電化複線(現在、大部分が工事のため単線)
 ETS 18往復
 KTR KOMUTER 約60分毎

 前述したように、この区間は現在、リニューアル工事のため単線運転になっています。このため、KTR KOMUTER は、この区間への乗り入れ本数が減らされています。多くの列車が、この区間の前後の KEPONG・SENTUL・KL SENTRAL での折り返し運転になっています。しかも、各電車は徐行運転になっています。

http://intranet4.ktmb.com.my/ktmb/uploads/files/pdf/kvdt.pdf

 クアラルンプール都市圏には、マレー鉄道以外にも、LRT・MRT・モノレールなどの鉄道網があるほか、市内バスも利用できます。このため、マレー鉄道が不便になっても、沿線の移動手段がなくなるわけではありません。

 
 SENTUL-BATU CAVES 間のKOMUTER

◎KL SENTRAL−PULAU SEBANG/TAMPIN 

 電化複線
 ETS 2往復
 KTR KOMUTER 30分〜2時間毎

 運行される列車は、KTR KOMUTERが主体です。ここも、クアラルンプール付近では徐行運転ですが、KL SENTRAL から2〜3駅ほど離れると、KTR KOMUTERは速く走るようになります。

 ETSは、KL SENTRAL以北からの列車が、2往復だけGEMASまで運転されています。
  PADANG BESAR−GEMAS 1往復
  BUTTERWORTH−GEMAS 1往復
が運行されています。しかし、スピードはあまり速くなく、所要時間は KOMUTER とほとんど変わりません。

◎PULAU SEBANG/TAMPIN−GEMAS

 電化複線
 ETS 2往復
 INTERCITY 3往復

 PULAU SEBANG/TAMPIN〜JB SENTRAL 間のINTERCITYが加わります。INTERCITYは、ディーゼル機関車牽引の客車列車です。
 線路は改良されて電化複線になっています。このため、ETSだけでなく、INTERCITYも速く走ります。しかし、この区間を走る列車は5往復しかありません。このため、立派な線路がもったいなく感じられます。

◎GEMAS−JB SENTRAL

 非電化単線
 INTERCITY 3往復
 INTERCITY(寝台客車列車) 1往復

 ディーゼル機関車牽引の客車列車だけが走ります。
 GEMASからは、東海岸本線からの夜行の INTERCITY が合流します。この列車は、TUMPAT-JB SENTRAL 間を17〜19時間かけて走る、寝台車主体の列車です。
 列車のスピードは、電化区間と比較するとかなり遅く、表定速度は45km/h ほどです。ただし、運転本数が少ないため、列車の行き違いの必要はほとんどありません。このため、途中駅での長時間停車は、ほとんどありません。
 GEMAS付近では、複線化工事を行っていると思われる区間もしばしば見かけました。いずれは、この区間も複線電化されて、スピードアップするのかもしれません。

◎JB SENTRAL−WOODLANDS

 非電化単線
 シャトル列車 WOODLANDS行き:17本,JB SENTRAL行き:14本

 マレーシアとシンガポールの国境区間で運行されているシャトル列車です。
 所要時間5分という短距離列車ですが、列車は予約制で、満席だと乗れません。時間帯によっては混雑しており、意外なほど切符入手難の列車です。
 車両は、ディーゼル機関車牽引の客車列車です。INTERCITYのものと同じ編成です。

 この区間は、路線バスでの往来も可能です。しかし、路線バスの走る自動車道は、渋滞のため時間がかかることもあるようです。このため、時間の読めるシャトル列車が、最速の移動手段になったようです。


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