2019年1月2日11時43分、私はイポー(IPOH)駅にやってきました。
イポーは、クアラルンプールから北に200kmほど行ったところにある都市です。イポーからは始発のクアラルンプール行きETSが出ているため、この駅を境に電車の運転本数が1.8倍になります。イポー駅の駅舎は、歴史ある名建築だそうです。
そんな名建築の駅舎の中に入りましたが、混雑にびっくり。待合室の中に切符売り場の窓口がありますが、すごいたくさんの人がいます。
切符売り場に近寄ってみたところ、係員から「どこに行くのか」「いつ乗るのか」と聞かれました。「今日クアラルンプールまで」と答えると、行列に並ぶように言われました。行列にしばらく並んでいると、無事に13:00発のKL SENTRAL行きETS列車の切符を買えました。
しばらく観察していると、その係員は、今日すぐに列車に乗ろうとする人は、私と同じ行列に並ばせて、明日以降の切符を買おうとする人には、番号札を渡しています。そして、その番号札の番号を覗いてみたところ、待ち人数が200人ほどになっています。つまり、この待合室を満たしている人のほとんどが、前売り券を買いに来ている人なのでした。
13時00分、KL SENTRAL行きETSは、定刻に発車しました。列車は6両編成の電車です。座席はリクライニングシートですが、回転して向きを変えることはできません。車両中央部を境に向きが固定された、集団離反式の配置になっています。
この列車の車内は空いています。しかし、これは、列車がイポー始発だからです。イポーのさらに北のPADANG BESAR・BUTTERWORTH を発着する列車は満席でした。
線路は、森林の中を複線でまっすぐ横切る電化複線です。カーブはほとんどなく、徐行区間もほとんどありません。ETSは、そんな線路を高速で快走します。ETSの最高速度は140km/h
ですが、ETSは、その速度をずっと保っているようです。
マレー鉄道の軌間はメーターゲージ(1000mm)です。最高速度140km/hのETSは、メーターゲージでは世界最速の列車なのだそうです。
快調に走ってきたETSですが、クアラルンプール付近のラワン駅を出ると、急にノロノロ運転になりました。終点のKL SENTRAL まで、60km/h以下の徐行運転がずっと続きました。この列車の表定速度をラワンの前後で比べると、以下のようになります。
33.0km/h は、日本の大都市の各駅停車の地下鉄電車と同じくらいのスピードです。通過駅のあるETSで、表定速度33.0km/h は、ちょっと遅すぎです。
実は、マレー鉄道のクアラルンプール付近はリニューアル工事が行われているのでした。同区間には単線区間も混在しており、列車の本数も制限されていて、ETSも走りにくくなっています。この工事は2019年11月まで続くそうです。
http://intranet4.ktmb.com.my/ktmb/uploads/files/pdf/kvdt.pdf
ETSは、速くて快適ではありましたが、クアラルンプール付近の徐行運転と、本数の少なさ、切符入手難は残念でした。クアラルンプール付近のリニューアル工事が終われば、ETSは速くなり、本数も多くなって便利になることが期待できます。そのときに改めて乗ってみたいと思いつつ、私は終点の KL SENTRAL で電車を降りたのでした。