2011年8月15日朝6時、私は西昌南駅にやってきた。駅構内は照明が少なくて暗い。駅には乗客が30~40人ほど集まってきているが、長大編成を満員にするには遠く及ばないような乗客数である。中国の列車が混んでいるといっても、西昌南駅からの乗客は少なかったのである。
5633次・攀枝花ゆき普快は、客車13両・荷物車1両・郵政車2両の長大編成である。客車は12両が硬座車であるが、一番前の1両は硬臥車(3段式寝台車)である。こんな昼行のローカル列車にどうして寝台車があるのか、その理由は分からなかった。
西昌南駅の乗客だけで、こんな長大編成が満員になるわけがない。6時48分、5633次はガラガラのまま西昌南を出発した。
西昌南~攀枝花間は、平坦地が多いところである。車窓は大河と農地の風景がのんびり続く感じ、どちらかというと単調なのである。また、ここは昨日高速バスで通ったところでもある。昨日感じたとおり、高いところを通る高速道路のほうが、眺めが良い。
黄联关~黄水塘 | 沙坝~米易 |
列車は乗客の乗り降りはあるものの、乗車率はずっとガラガラのままである。また、この列車は起点から終点まで、一つの旅客列車ともすれ違わないし、追い越されもしない。下りの昆明方面ゆき夜行快速列車は、すでに全部通り過ぎた後なのである。このため、どこか印象の薄い乗車になってしまった。
10時9分の米易を過ぎると、線路は金沙江に沿うようになる。2日前の攀枝花到着直前とほとんど同じ風景であり、終点の攀枝花到着が近いことを感じる。
11時20分、列車は20分遅れで攀枝花に到着した。今日はこのあと、攀枝花17:09発の列車で西昌南に戻ればよいので、それまでを攀枝花の市内散策に充てた。ここはもうすでに一度来たことのある場所なので、バスにも乗り慣れているし、地理もある程度分かっている。とはいえ、市内の地図が手元にないのは物足りなかった。攀枝花はガイドブックに載っていない街なので、ガイドブックの地図を見ることはできない。市内で地図を売っているところを探したが、結局見つけられなかった。
攀枝花からの5634次普快・西昌南ゆきも、混んではいなかった。攀枝花発車時点では50%程度に座席が埋まっていたが、乗客は米易・徳昌といった町のある駅でまとまって下車していき、外が暗くなるころには車両内は私一人となってしまった。夜間に外国の薄暗い旧型客車で一人きりという、何とも心細い乗車になってしまった。
22時24分、列車は7分遅れで終点の西昌南に到着。列車を降りて駅の出口に向かったのは、私を含めても5人ほどだった。
駅前では白タクが数台待機し、「西昌!西昌!」と声をかけてくる。この時刻では市バスの運行は終了し、流しのタクシーも走っていない。もし、西昌南での宿を確保しないままこの列車に乗っていたとしたら、私はこの白タクに頼って西昌市内に向かうしかなく、結局ボラれていたことだろう。