Chapter 5:5620次 西昌南→成都 前編


 2011年8月17日7時5分、、私の乗った5620次普快・成都行きは、西昌南を5分遅れで発車した。終点の成都到着予定は22時27分、15時間27分のという乗車時間は、今回の旅では最長である。
 列車は前から電気機関車・郵政車2両・荷物車1両・硬座車12両・硬臥車(3段式寝台車)1両。これは、先日乗った西昌南-攀枝花間列車と共通である。サボ(といっても、シール)に『攀枝花-西昌南 普快 西昌南-成都』と記されているところを見ると、この編成は成都~攀枝花間を3日かけて1往復しているのだろう。

 車内は、西昌南発車時点では、やはりガラガラである。とはいえ、この列車の場合は次の西昌で大量の乗車客が乗り込んできて一気に満員、ということだって考えられる・・・。
 そう考えているうちに、列車は西昌に到着した。車内は西昌からの乗客が加わって1ボックスに2~3人程度の乗車になった。西昌からの乗車は多かったものの、満員になるほどではなかった。これなら、西昌から乗車しても、ある程度好みの席は選べたはずで、始発の西昌南駅からの乗車にこだわる必要はあまりなかったと思われる。

◎西昌南→成都の列車に乗るなら、始発の西昌南からではなく、隣の西昌から乗ってもよいと思います。始発駅乗車にこだわらなくてはならないほど、この列車は混んではいません。
 西昌南のホテルを日本から予約することは、おそらく難しいです。これに対し、西昌の市街地なら、日本から予約できるホテルは多くあります。西昌の市街地に宿泊するなら、市街地から近い西昌駅からの乗車が断然便利です。

 10:00の新凉を過ぎると、山岳路線らしく、左手にこれから通る線路が見えてくる。しかし、ループ線ではないような気もする。帰国後にGoogle Map で確認してみたが、このあたりはGoogle Mapにも正確な線形が記されていない。

新凉站 Google Map のURL
   新凉站 Google Earthでの緯度・経度:[28 14'50.30"N,102 31'20.50"E]
 
 沙马拉达  红峰

  10:54に、楽武に停車。これから通る線路が右の窓から見えているという、ループ線の鑑賞ポイントのような駅である。ここでは11:00まで16分停車。
  この16分間に、左側の窓から貨物列車が走るのが見える。その数分後には、その貨物列車が駅に入ってきて普客を追い抜いていく。そして、そのまた数分後には、右の眼下の線路をその貨物列車が走っていく。これはなかなか得がたい体験である。今日の列車は、朝から貨物列車とのすれ違いが多い。

楽武站 Google Map のURL
    Google Earthでの緯度・経度:[28 18'08.42" N,102 37'17.98"E]
 
 乐武~尼波

 このあたりに来るころには、車内はガラガラになっていた。この列車も、起点から終点まで15時間以上も乗りとおす乗客は珍しいようである。そんなことをする日本人旅行者というのはなおさら珍しいようで、私は列車員から注目されてしまった。
 そして、列車員は口々に「(硬臥車のほうが)荷物が安全、横になれて楽。硬座はつらい」というようなことを言って、最後尾の硬臥車に移るように勧めてくれたうえ、私の荷物を硬臥車まで運んでくれようとする。
 言葉が不自由だと、悪意をスルーすることはできても、善意を遠慮することは難しい。硬座で自由にのんびり過ごすのに満足していた私は何とか遠慮しようとしたものの、結局言われるがままに、硬臥車に移ることになってしまった。

 硬臥車の座席がどういう運用をされているのかはさっぱり分からないが、硬臥車は硬座車よりも利用率が高い。列車員に指定された3段寝台コンパートメントには、先客が1人いる。このため、今までのように自由に動き回ることは難しくなってしまった。いずれ適当なタイミングで硬座車に移ろうと思っていたのだが、これは甘かった。硬座車と硬臥車の間の貫通路は通常はロックされており、列車員以外は自由に通行できないのである。
 また、この硬臥車には「車内販売が来ない」という問題もあった。この列車には食堂車はないが、カップラーメンを車内販売で売っており、お湯のサービスもある。このため、今日の昼食はこれにしようと思っていた。しかし、それができなくなってしまい、5620次列車の旅の後半は、ひもじい乗車になってしまった。


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