13:18着の白石岩駅では、左側の窓からこれから通る線路が眼下に見える。この前後もループ線があるとのことなのだが、地図を持たずに乗っていると、なかなか確信が持てない。
◎白石岩站 Google Map のURL
ここで一気に高度を下げた後は、阿寨から、16:30の峨辺あたりまで、大渡河の谷沿いの景色が続く。このあたりからは、成都に向かって右手の窓際のほうが見所が多い。
南尔岗~甘洛 |
尼日~汉源 |
17:09発の代湾からは、線路は大渡河から離れて坂を登りはじめた。右の窓に、農村の展望が開ける。帰国後地図を見ると、ここは大渡河が大回りのカーブになっており、成昆鉄路は川岸の丘を越えてカーブをショートカットしているのであった。
代湾~刘沟 | 刘沟~轸溪 |
◎代湾站周辺 Google Map のURL
18時41分、久々の都市となる峨眉に到着。ここでは下車客のほうが多かった。ここからは平地の車窓になり、まもなく日没になって外は暗くなった。成昆鉄路の車窓の楽しみは終わったが、終点の成都まではまだ4時間かかる。
外が暗くなったころから、列車員が寝台の中段・上段に入ってきてくつろぎ始めた。ここへきてようやく、この硬臥車が、列車員の成都での宿舎らしいことに気がついた。
そうと分かると、まるで自分が居候みたいで、余計に居心地が悪くなってしまった。幸い、このころには硬座車との間の貫通路も開放されていて、私はようやく、硬座車に舞い戻ることができた。しかし、夜の20時を過ぎた硬座車はガラガラ、乗客は1両に数人という有様である。2日前の攀枝花発西昌南ゆき5634次列車と同様の状態で、成昆鉄路の旅の最後は心細い乗車になってしまった。
しかも、この時間は成都発の夜行列車の出発時間にあたるため、ここへきて普快は行き違いのために停車時間が長くなり、なかなか前に進まなくなった。ダイヤを見ると、峨眉から成都までに、7本の夜行列車とすれちがうことになっている。こんな時間の長時間停車は、さすがにもどかしく感じられた。
22時06分、最後の途中停車駅である双流を発車。沿線は既に、成都市内の町外れという感じである。ダイヤでは、ここから成都までは1時間3分を要している。成都駅は成都市の北にあるため、南から来た成昆鉄路の列車は、成都市の外周を西回りで半周するのである。
その途中で、列車は客扱い無しの駅で10分以上の運転停車を行い、下り夜行列車と行き違った。成都21:57発のT8865次特快・西昌ゆきである。これが、成昆鉄路で一番遅く成都を出る夜行列車である。
このT8865次列車は西昌までをノンストップ、9時間9分で結ぶ。それと同じ道のりを、この列車は16時間近くもかかっている。いくら中国の列車が混んでいるといっても、こんな列車を起点から終点まで乗りとおすような人は、中国にもいなかったのである。なお、帰国後に成都市の地図をみたところ、どうやらここは紅牌楼という駅らしい。
23時06分、列車は数少ない乗客を乗せて成都駅に到着。私は無事に成昆鉄路各駅停車を乗り終えることができた。
今回の旅行は、情報が少なくて計画には苦労したが、要所要所でインターネットの情報に助けられた。便利な世の中になったなあ・・・と思いつつ、私は日本から予約したホテルに向かったのである。
が、ネット予約していたはずのホテルでは「あなたの予約は受けつけられていない。本日は全館満室である」と、宿泊を断られてしまった。私は、最後のところでインターネットの落とし穴にはまってしまい、夜の23時の成都の街で、歩いて宿探しをする羽目になったのである。