2014年8月14日木曜日の10時10分、私の乗った Dover Prioryゆき列車 Javelin は、St.Pancras International駅を発車した。
この列車は、Eurostarのために作られた高速列車専用新線HS1(High Speed 1)を、最高速度200km/h強で走る国内線電車である。
この列車によって、ロンドンからドーバーまでは、以下のように時間短縮している。
とはいえ、高速列車専用新線を経由している割には、短縮幅はそんなに大きくないようにも見える。
なお、Javelinというのは、このHS1線経由の列車に使われる車両に付与された愛称であり、列車の名前ではない。この列車もイギリスの鉄道の例に倣い、特別な列車名や列車種別は与えられていない。St.Pancras
駅の行き先表示板の表示も、単に「10:10発 Dover Prioryゆき」である。
また、この列車は、1等車もなければ車内販売もなく、座席の予約も受け付けていない。このため、この列車の位置づけは「特急」というよりは、「新幹線の線路を経由する、特別快速電車」という感じである。座席も、リクライニングもなく、向きも変えられない固定クロスシートである。新しくて清潔ではあるが、快適な車内設備とは違う。
車内は結構空いている。ここの沿線も、ほとんどは平坦地である。このため、車窓の変化には乏しい。また、この列車のHS1での最高速度は200km/h程度であるが、イギリスでは在来線に分類される東海岸本線の特急も200km/hを出している。この列車に乗った後なので、高速新線の有難味を感じにくくなっているのだと思う。
St.Pancras International 〜 Ashford International で高速新線HS1を走ってきた Javelinは、Ashfordからは在来線に入り、終点の Dover Priory を目指す。そのころには、すでに車内はガラガラとなっていた。
HS1は架空線式の電化路線だが、イギリスの南東部の在来線は第三軌条式電化路線である。このため、Javelinはパンタグラフと集電靴の両方を持っている。日本には、架空線式と第三軌条式の両方を走る電車は存在しないが、日本以外では珍しく無いのである。また、このJavelinを作ったのは、日本の日立製作所だという。
11時20分、Javelinは終点のDover Prioryに時刻表どおりに到着した。小さい在来線の駅に停まっているJavelinを見ると、これはやはり特急というより快速電車なんだな、という感じがした。
Dover
Doverは、英仏海峡に面した港町です。桟橋からはフランス行きの国際フェリーが発着しています。
丘の上にあるDover城が、街のランドマークになっています。