CHAPTER 4−ロスモチス駅

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 ロスモチスでホテルにひとまず落ち着いた。チワワ太平洋鉄道のロスモチス発は早朝である。明日の乗車に向けて、駅の場所を今日中に確認しておきたいし、売っているのなら切符も手に入れておきたい。しかし、駅はいったいどこにあるのだろう?

 『地球の歩き方』には、ロスモチスの小さな市街図が載っている。しかし、この市街図には駅はなく、地図の端の方に『チワワ太平洋鉄道駅↓』という記載があるだけである。とりあえず、この矢印にしたがって、 Castro 通りを南に向かって歩き始めた。
  20分ほど歩くと、市街地はなくなり、ぽつぽつ建物があるだけの、粗末な舗装の道になった。そんな道を歩きつづけること40分、レールが見えてきたものの駅はない。

ロスモチス駅


 どこをどう歩いたのか、どういう方向感覚が働いたのか、駅にたどり着いたのは市街地から歩き始めて1時間20分後のことである。ここでつたないスペイン語を操り、何とか明日の列車の切符を購入することができた。このとき、駅前にいた職員らしい人に教えられ、はじめて私の時計が1時間遅れていたことに気づいた。もし、この人に教えられなければ、明日の列車に乗り遅れていたかもしれない。

ロスモチス駅前

 駅前には、民家兼商店が4〜5軒あるだけで、あとは空き地のような空間が広がっている。とても、ロスモチスという街の駅前の風景とは思えない。しかし、そんな駅前ではあるが、市バスがときどきやってくる。さすがに帰りも歩く気にはなれず、私は市バスに乗り込んだ。駅へ歩いてくる途中も市バスには何度かすれ違ったが、よく見るとフロントガラスに "Estacion"(駅)と書いてあることには気が付いていた。

ロスモチスの市バス 市バスの切符

 市バスの運賃は3.7ペソ。といっても、乗るときには運賃は分からなかったので、とりあえず5ペソのコインをドライバーに渡してみて、お釣りから正確な運賃が分かった。駅から市中心部の市場前まではバスなら20分。しかし、こんなに遠いのでは、明日の早朝に歩いて駅に行くなどは無謀である。明日の列車の発車時刻は6時。こんな時刻では市バスも走っていないだろう。明日朝は、タクシーで駅に行くしかなさそうである。


 翌朝、5時にホテルを出てタクシーに乗り、私はロスモチス駅前にやってきた。いよいよ、チワワ太平洋鉄道に乗るときが来たのである。

《タクシーはメーターがありません。運賃は交渉制で、市街地から駅までは80ペソ程度です。しかし、あいにくこのとき筆者は細かいお金の持ち合わせがなかったので、200ペソ紙幣を渡しておつりは100ペソ。つまり、運賃は100ペソかかったことになります。》



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