2.EAST COAST(Londo−York)


 8月10日(日)10時27分、私はPaddington から地下鉄に乗り、Kings Cross 駅にやってきた。今日はこれから、東海岸本線(East Coast Main Line)の特急列車に乗って、301km離れたヨークに向かう。


 Kings Cross 駅は発着番線が11本の大きな駅である。駅のコンコースには、多数の発車案内板があり、18本先までの発車列車の発車時刻・行き先・停車駅と列車の運行会社(オペレーター)を表示している。但し、この発車案内板は、近距離の各駅停車電車から長距離の特急列車までが時間順にごちゃまぜに表示される。このため、自分の目的に合った列車を探すのに苦労することもある。


 また、この案内板に列車の乗り場が表示されるのは、発車の10〜15分ほど前になってからである。列車を待つ乗客は、この案内板が見える場所で乗り場が表示されるのを待ち、発車番線が表示されたら一斉にホームに移動している。

 11:30発Edinburgh行き特急列車の乗り場が表示され、多くの乗客が急ぎ足でホームに向かった。Edinburgh行き列車は、インターシティー225と呼ばれる、電気機関車牽引の客車列車である。
 私もこの列車に乗るべくホームに向かったが、出遅れてしまった。車内に入ってみると、驚いたことにほとんどの座席に『Reserved』(予約済)の札がささっており、予約札のない座席もほとんど埋まっている。こんなに混むとは思っていなかった私は、座るところが見つけられずに大焦りである。
 急ぐ旅でもないので、私は次の列車で席を見つけることにし、11:30発の列車を見送った。

 12時ちょうど、私の乗ったInverness行き特急は Kings Cross 駅を発車した。この列車もほとんどの座席は予約済、発車時点では車内は満席、デッキで立っている人もいる。
 この列車は、Kings Crossを出るとYorkまで301kmの間をノンストップで走る。所要時間は1時間48分、最高速度は200km/h、表定速度は167km/hである。

 この列車は、さきほど乗り損なった11:30発列車とは違い、インターシティー125 という編成が使われている。この列車はディーゼル機関車編成である。これは、終点のInvernessが非電化区間だからである。
 私の乗っている2等車の座席は、2列-2列の固定クロスシートである。座席はリクライニングもしないし、向きも変えられない。座席は、日本の特急列車の方が快適だ。

 ロンドンを出て30分もすると、沿線風景は都市から農業地帯に変わってしまった。線路は新幹線のような新しいものではないが、カーブも勾配もほとんどない高速向きの線路である。列車はそんな線路を、時速200km/hを保って走行している。

 東海岸本線は、ロンドンからの快速電車が走るHuntingdon まで(Kings Crossから92.8km)は複々線である。線路配置は方向別で、内側が急行線・外側が緩行線だ。

 東海岸本線において、ロンドンからの快速電車が走るのは、Peterborough までである。それ以北の東海岸本線は、都市にしか駅がない、新幹線的性格の線路になる。この区間には普通列車の運行はなく、旅客列車はほとんど特急だけとなる。

 この区間も、列車は高速運転を維持して快走する。車窓には丘はあっても山は無く、広い農地が続く。車窓の流れは速くて爽快だが、日本に比べると車窓の変化は少ないなあ・・・。

 そんなことを感じ始めたころ、列車はほぼ時刻どおりにYorkに到着した。「イギリスの鉄道はよく遅れる」という話もあったが、今のところ、私の乗った列車はすべて正確に運行している。


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