4月29日夜、私は長距離バスの車中にいた。23時ごろ、バスは北から東に進路を変える。私が座っているのは南の窓側、そして空は晴れている。
窓の外には、生まれて初めて見る南十字星が輝いていた。走っているのが大陸の中央の真っ暗闇の中なので、ものすごい数の星が見えている。それでも、ひときわ明るく、しかも独特の形をした南十字星を見つけるのは、日本で北斗七星を見つけるのと同じくらいたやすいことだった。
翌朝6時前、私はマウントアイザでバスを降りた。このマウントアイザは鉱山をひかえた地方都市である。長居は無用なところだが、次に乗るバスは週に2往復しかないため、ここで一泊しなくてはならない。
ノーマントン方面カランバゆきのバスの事業者は『CORAL COACHES』、マウントアイザ発は毎週火・金曜日の午前9時となっている。これは、トーマスクックの時刻表の通りだった。
そして翌朝、バスターミナルで私を待っていたのは、行先も書いてないようなマイクロバスである。乗客はたったの4人、目的地ノーマントンまでは7時間。こんなバスに長時間ゆられて行き着く先は一体・・・。